やっと見た。
ミニマムな世界のミニマムなお話だった。
正直、映画祭とかに出品するレベルの映画ではなかった。
同様に台湾以外ではウケないだろうな〜とも思わせられた。
癒される…それは事実。実際この映画の主題でもあるから。
子猫がミャーミャー泣きながらチョロチョロ動いている映像
流せばそりゃ癒されるでしょ〜
でもそれだけ…かな。
出演者の誰かの迷であればそれだけで満足かもしれない。
実際、私も祐祐好きとしては大満足だけど、映画としては物足りない。
ガッツリ恋愛を描いているわけでもないし、爽やかな青春を描いているわけでもない。
何かが起きるわけでもない(実際には起きるけど)、
何かが始まるわけでもない(実際には始まりそうだけど)と全てが曖昧なまま。
その部分は観客に委ねるというスタンスとも違うんだよな…
あまりにも何も描かな過ぎる…
それぞれのキャラクターをもっと掘り下げても良かったのでは?
77分という映画としては短い上映時間も疑問だし……
祐祐演じる阿軍は幼い頃に起きた事によってずっと
重い鎧を背負って生きてきて、あまり人に心を開かない。
そういうキャラ自体が祐祐には珍しいんだけど、寡黙で瞳で語るかの
ようにじっと見つめる表情は良かった。
阿軍は最初から小静のことを認識して接していたんだけど、まさか小静の方も
自分のことを誰だかわかっていたとは(それは人違いではあったけど)
想像もしてなくて、だからこそのあのシーンの祐祐の複雑な表情には
すごく説得力があってグッときた。
阿軍は小静のことが好きだったのかな?特別な人とは言っているけど。
でもこの先二人の間が進展するような感じは残念ながらどのシーンからも
感じ取ることは出来なかった。
郭碧婷演じる小静は自分が大切に思う人は全て自分の周りから
居なくなると感じている。
母親、幼なじみ…そして子猫。
引越しによって離れてしまった幼なじみにはずっと手紙を書き続けているが
返事は一向に来ない。
この小静があまりにも受け身なうえに、人の気持ちに鈍感(ハッキリ言っちゃった)で
ちょっとイラつく(苦笑)
幼い頃に拾った子猫と似ている子猫を拾った時にも
積極的に動いたのは親友の亮亮。
その親友である亮亮が友情以上の感情を自分に向けられていることも
全く感じていない。
長年返事をもらえない幼なじみに対して何も行動を起こさず、いつか
出会えると信じているだけ。
あげく、大雨の中逃げ出した小王子(子猫)を探してくれた
阿軍に対しても……そこ思わず抱きつくとかしてもいーんじゃないの?って思った(爆)
あまりにも淡白&感情の起伏が無さ過ぎで、人間的な魅力がまるで
無い子に描かれちゃってるのが残念。
幼い頃の心の傷が…って設定でも無いのにね。
郭碧婷自体は超美少女でちょっと浮世離れしちゃってる感じも否めなくもないけど、
だからこそもう少し血が通ってる人間として描くべきだったのでは?
こんなキャラだから阿軍とこれから先どうこうなる感じは
ぜ〜んぜんしない。
tadashiは歌ってなかったよ……
そうだよね、あまりにも上手すぎるもの。
しかしこの7-11の制服似合い過ぎ!
tadashiも報われないキャラだったな〜っていうかちょこちょこと
絡む話もあるんだけど、そこはやはりというか深くは描いてもらえなくて。
阿軍と小静だけでは煮詰まるので違うエッセンスを入れておくか…ぐらいな感じ。
亮亮に一目ぼれして、なんだかんだモーションをかけるんだけど、
亮亮自身は親友で同性でもある小静を好きでいるから、それは断るよね…
その辺りの二人の駆け引きというか、エピソードも描いても良かったのになーー
もったいない〜せっかくのナイスキャラだったのに!
って感じでフォーカスしているのが阿軍と小静だけなので、
脇のキャラの扱いがもったいない。
せっかく、同性愛や片思いなんかをちりばめてるんだから
それぞれの心情を出せるシーンがあったらもっと話が膨らんだのに〜とは思う。
かといって、阿軍も小静に関しても深い部分については何も吐露しないから
やはり表層的にしか語られてないんだけど。
過去に何があったかを映像で見せてその部分の説明を省く
(観ている側に委ねる)というのは大いにありだとは思うけど、
それと語られるべき言葉が有るのと無いのとでは全く別のことだと思う。
なんか、辛口になっちゃった。
祐祐迷としてはこのキャラと演じている祐祐自身は魅力的なので、
必然的にお気に入りの1本にはなるんだけど、
やはり内容には不満は残る。
映像はキレイだし、登場する部屋とか小物使いとか衣装とか
個人的にはすんごくツボなんだけどねーー、全てを満足させて欲しかったかなー。